不妊治療を検討する夫婦や個人が増える中、「いつ始めるべきか」「いつ終えるべきか」といったタイミングの問題は、多くの人にとって重要なテーマです。
治療の適切な時期を見極めることで、心身や経済的な負担を軽減しながら、後悔の少ない選択ができる可能性が高まります。本コラムでは、不妊治療の開始と終了に関するポイントや課題を解説します。
不妊症の定義として、「避妊をせず1年以上妊娠しない状態」が挙げられます。ただし、この「1年」は年齢によっても異なります。特に35歳以上の場合は、6ヶ月程度で専門医を受診することが推奨されています。
年齢と妊娠率の関係を考えると、女性の妊娠しやすさは20代をピークに減少し、35歳を過ぎると急激に低下します。例えば、体外受精における成功率は30代前半で30~40%ですが、40歳を超えると10%以下に下がります。こうしたデータからも、早めの診断と治療開始が重要であることが分かります。
不妊治療の開始が遅れる背景には、いくつかの要因があります。
仕事や昇進を優先するため、出産や治療を後回しにするケース。
治療費が高額になる可能性があるため、資金を確保してから治療を検討する人が多い。
不妊の原因の半数は男性側にあるにもかかわらず、男性が治療に協力的でない場合もあります。
専門家は、早期の健康チェックが不妊治療の成功につながると指摘しています。特に月経不順やホルモン異常がある場合は、早めに専門医を訪れることが推奨されます。また、夫婦での健康チェックが、双方の原因を早期に特定する助けとなります。
治療をいつ終えるかを決めることは簡単ではありません。年齢と成功率、経済的な負担、そして精神的な疲労が、判断基準に大きく影響します。
例えば、体外受精の成功率は40代で急激に低下し、45歳以上ではほぼ成功が見込めないと言われています。また、治療が長期化することで、夫婦間や個人の精神的負担も増加します。
治療の終了を考える際には、医師との密なコミュニケーションが欠かせません。医師は成功率や健康状態を総合的に評価し、現実的なアドバイスを提供します。第三者の視点を取り入れることで、納得のいく決断ができるでしょう。
治療を終了した後も、夫婦や個人が充実した人生を歩むためのサポートが重要です。「子どもがいない人生」を選択肢の一つとして前向きに受け入れるためには、心理的ケアやピアサポートが必要です。
現在、日本では不妊治療の保険適用範囲が広がり、経済的負担は軽減されつつあります。しかし、治療を終了した後の支援体制はまだ十分ではありません。治療後の心理的ケアや新たな生活のサポートが社会的に求められています。
不妊治療の「始める時期」と「終える時期」は、それぞれの状況や価値観によって異なります。大切なのは、正確な情報をもとに専門家と相談し、自分たちにとって最善の選択をすることです。このコラムが、治療に悩む方々の助けとなり、明るい未来を築くきっかけとなれば幸いです。
「卵子提供」「代理出産」などを選ぶ・選ばないに関わらず、“子どもが欲しい”という方々の希望に寄り添いたいと思い、この縁ガーデンを開設いたしました。
少しでもみなさんのヒントになれば幸いです。