不妊治療を続けていても妊娠・出産に至らない…。
そんなときに次の選択肢としてご夫婦の状態によっては精子提供、卵子提供、養子縁組などを考え始めることもあるでしょう。
このページでは、そのなかの「精子提供」を紹介しています。
個人間取引も社会問題になっている精子提供について、正しく知っていただけたらと思います。
私たちメディブリッジは、卵子提供・代理出産エージェンシーとして、お子様が欲しいと願うご夫婦のたくさんの声を聞いてきました。
エージェンシーである私たちにできることは、多くはありません。
命の選択に関わっているということに敬意を示しながら、
みなさんのお話を聞いて、みなさんの決断をサポートするだけです。
直接的に支援ができる内容は「卵子提供」と「代理出産」ですが、その選択肢を無理におすすめすることはありません。
あくまで“選択肢のひとつ”。
道が見えなくなったときは、ぜひご相談ください。
精子提供とは、夫の精液内に精子がない無精子症や、精子が受精能力を持たないなど、絶対的男性不妊の状態に適用される生殖補助医療。
第三者(ドナー)の精子を使って人工授精を行い、子どもを授かる治療法となります。
精子提供の方法には、子宮へ精子を直接注入する人工授精(AID)と、採取した卵子とドナーの精子を体外で受精させる体外受精・顕微授精(IVF-D)の2つがあります。
精子バンクとは、ドナーから採取した精子を凍結して保管・管理を行う施設のこと。
無精子症など、妊娠に関して医療介入が必要であると診断された夫婦に対し、生殖補助医療を行うための精子を管理・提供します。
精子バンクは、不妊治療を取り扱っているクリニックで独自に展開していることがあります。
ドナーからの精子をストックしている精子バンクでは、匿名ドナー精子と非匿名ドナー精子のどちらかを選ぶことができます。
それぞれの特徴を知っておきましょう。
匿名ドナー精子とは、その名の通りドナーの情報が秘匿された精子です。
ドナーの情報が一切開示されないため、将来生まれた子どもが自分のルーツを知りたいと思っても、情報を知ることはできません。
精子提供による生殖補助医療のひとつである人工授精(AID)は、この匿名ドナー精子が使用されます。
これは、国と日本産科婦人科学会が「AIDに使用するのは匿名ドナー精子とする」という見解を示しているためです。
非匿名ドナー精子とは、ドナーの周辺情報が開示される精子を指します。
開示される情報は、ドナーが精子提供時に記入した身長・体重・体の特徴・国籍・血液型・病気や遺伝情報といった内容。
ドナーの氏名・住所・生年月日といった個人情報が、被提供者に開示されることはありません。
この非匿名ドナー精子による治療が可能なのは、精子提供による体外受精・顕微授精(IVF-D)。
AIDと違ってIVF-Dは国と日本産科婦人科学会から承認を受けていない治療法のため、非匿名ドナー精子が利用できるのです。
治療を提供するクリニックによってガイドラインは異なりますが、非匿名ドナー精子の場合、生まれた子どもが18歳以上になって自身のルーツを知りたいと思ったとき、ドナーは「メール」「電話」「手紙」「直接会う」のいずれかの行動をとることが必要となります。
インターネットが発達し、ネットを介してさまざまな人と繋がりやすくなった現代社会。
近年、SNSを利用して「自身の精子を無償で提供する」というアカウントが増加。
「子どもを授かりたい」と考える人たちがこういったアカウントを通して提供者と会い、決して適切とは言えない方法で精子提供を受けているケースが増えているのです。
さらに、「国籍や学歴といった提供者からの情報が偽物だった」「性的行為を強要された」といった問題も発生しています。
不妊治療クリニックが設置している精子バンクでは使用に年齢制限が設けられているため、こういった個人間取引が脳裏をよぎるシーンもあるかもしれませんが、そこには、多くのリスクが潜んでいます。
以下に、個人間の精子提供で考えられるリスクをまとめてみましたので、ぜひ目を通しておいてください。
医療機関で精子提供を受ける場合、その精子は事前にHIV(エイズ)・梅毒といった性感染症、B型肝炎・C型肝炎などの検査が実施されています。
感染症はそれぞれ潜伏期間があるため、半年後にもう1度検査を実施するなど、念入りな検査が行われているのです。
さらに、専門の管理施設で適切に保管されるため、安全性は高いと言えるでしょう。
しかし、個人間でやり取りされる精子については、何の検査も行うことなくそのまま使用することになります。
SNSで知り合った男性が情報を提供したとしても、それがどこまで信頼できるかは分かりません。
HIVや肝炎といった疾患に感染することもあり、母親はもちろん、生まれる子どもへのリスクも高くなるでしょう。
医療機関で提供されるドナー精子には、さまざまな条件が設けられています。
性感染症や遺伝病の検査・チェックはもちろんですが、近親婚を防ぐため、1人の精子提供者から生まれる子どもは10人までといったガイドラインが定められているのです。
しかし、SNSを介した精子提供ではこうした制限が設けられていないため、1人の提供者から複数人の子どもが生まれている可能性があります。
たとえば、同じ精子から生まれた子どもが同じ地域に100人以上いたらどうなるでしょうか。
自分の子どもが成人し、結婚する際に、その相手が自分の兄弟である可能性も高くなってしまうのです。
血縁の近い者同士が結婚し、妊娠・出産した場合、他人結婚に比べて常染色体性劣性遺伝病の罹患頻度が増加することが分かっています。
知らず知らずのうちに、自分の子どもにこうしたリスクを負わせてしまうことも知っておくことが重要です。
「卵子提供」「代理出産」などを選ぶ・選ばないに関わらず、“子どもが欲しい”という方々の希望に寄り添いたいと思い、この縁ガーデンを開設いたしました。
少しでもみなさんのヒントになれば幸いです。