自分の子
ご主人様「最初は僕だけ血の繋がった子どもが産まれても良いのか、気が引けるところがありました」
奥様「私の方がノリノリでしたね。実際に産まれたら本当にかわいくて、やっぱり全然気にすることじゃなかったと思いました。自分のお腹で育てて、自分で産んだ子ですから、もうそれは自分の子ども以外の何者でもありません」
第三者であるドナーからの卵子提供を受けて体外受精を行う場合、生まれてくる子どもと夫の間に血の繋がりはありますが、妻との間に血の繋がりはありません。
将来、子どもにこの事実について告知するかどうかという問題に、頭を悩ませる人もいるでしょう。
そういった方の参考になるよう、ここでは「血の繋がり」や「告知」について、体験者の考えを参考としてご紹介したいと思います。
私たちメディブリッジは、卵子提供・代理出産エージェンシーとして、お子様が欲しいと願うご夫婦のたくさんの声を聞いてきました。
エージェンシーである私たちにできることは、多くはありません。
命の選択に関わっているということに敬意を示しながら、
みなさんのお話を聞いて、みなさんの決断をサポートするだけです。
直接的に支援ができる内容は「卵子提供」と「代理出産」ですが、その選択肢を無理におすすめすることはありません。
あくまで“選択肢のひとつ”。
道が見えなくなったときは、ぜひご相談ください。
日本は、血の繋がりを重視する傾向が強い国。
親と子は血が繋がっているのが当たり前であるという考えが根強く、血の繋がらない子どもを出産する、育てることに不安や抵抗を感じる人も少なくありません。
自分は気にしなくても、田舎なので周囲の目が気になるということもあるのではないでしょうか。
しかし、よく考えたら今や日本の離婚率は35%程度(※)まで上がっており、それにともない再婚率も上昇し、子連れ再婚も増えていることを思うと、「血の繋がり」にこだわりすぎる必要はないのかもしれません。
親子関係を形成するうえで、血の繋がりをどこまで重視するのかについては、先ほどの「子連れ再婚」同様に、当人たちの価値観によるところが大きいと思います。
ドナーからの卵子提供を受けて生まれてきた子どもと親の関係性も、また然りです。
卵子提供を受けて出産したTさんご夫婦に、血の繋がりについて悩むことはなかったのか、お伺いしてみました。
ご主人様「最初は僕だけ血の繋がった子どもが産まれても良いのか、気が引けるところがありました」
奥様「私の方がノリノリでしたね。実際に産まれたら本当にかわいくて、やっぱり全然気にすることじゃなかったと思いました。自分のお腹で育てて、自分で産んだ子ですから、もうそれは自分の子ども以外の何者でもありません」
卵子提供を受けて出産に至った場合、その後の問題として挙げられるのが告知です。
母親と血が繋がっていないこと、卵子提供による治療で生まれたことなどを子どもに伝えるのかどうか、治療を受ける前から悩む人も少なくありません。
しかし、自分自身もそうだと思いますが、どの子どもも「親と血が繋がっていて当たり前」と思って生まれてくるワケではありません。
自然妊娠で生まれた子どもも、卵子提供で生まれた子どもも、血の繋がりに関わらず、等しく「親に愛されるため」に生まれてくるのです。
血の繋がらない子どもを愛せるかどうか分からない、告知することで親子関係が変わってしまうかもしれないなど不安は数多いと思いますが、最終的には「自分たちで考え、決める」ことが大切です。
そのうえで卵子提供による治療を決断したのであれば、その選択に自信と誇りを持ち、親としての愛情を持って育児に取り組んでいけばよいのではないでしょうか。
Tさんご夫婦のお子様はまだ1歳未満ですが、将来告知についてどうするのかお伺いしました。
私たちは、告知しないと決めています。
50歳での出産だったので、もし突っ込まれたら「若い頃に卵子を凍結してたんだ」と言う、とまでしっかり決めています(笑)。
親にも話していません、これからも話すつもりはありません。
この子のことが本当に大切です。だからこそ、とくに言う必要がないと思っています。
いろんな考え方があると思いますが、私たちが選んだのはこの選択です。
血の繋がりに関しては、一度「卵子提供を受ける」と決意できたら、気にしなくなる方が多い印象です。
告知に関しては、そのときの状況や親子関係など、さまざまな要素が絡み合い、「こうしよう」と今決意していても、変わっていくこともあるはずですが、それでいいのだと思います。
自然妊娠で生まれた親子関係であっても、タイミングによって考え方が変わることなんて、いくらでもありますから。
しかし、「告知すべきである」ということを前提に議論が進んでいることは忘れてはいけません。
子どもに自らの「出自を知る権利」を法律で認めている国は、イギリスやスイスなど。
日本でも1998年から議論が重ねられていますが、いまだに「出自を知る権利」などをまとめた生殖補助医療についての法案は提出されてませんが、日本でも遅かれ早かれ、これらの国に続いていくでしょう。
だからこそ、相談する場が必要だと私たちは考えています。
周囲の人に卵子提供を受けたことをお話ししている方は、そう多くありません。
もし周囲にお話ししていても、告知のことなど悩んでいることを相談できるわけではありません。
メディブリッジでは、卵子提供者経験者の集いを開催し、今まで卵子提供プログラムを受けたご夫婦で、希望する方々が参加できるようになっています。
普段相談できないことや話せないことを言える場として好評をいただいています。
「卵子提供」「代理出産」などを選ぶ・選ばないに関わらず、“子どもが欲しい”という方々の希望に寄り添いたいと思い、この縁ガーデンを開設いたしました。
少しでもみなさんのヒントになれば幸いです。